会報誌たくみ

 

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名匠会の顔 防水工事65年

坂田工業株式会社(長野市)
代表取締役 坂田守夫氏  

プロフィール/昭和19年(1944)生まれ、65歳。群馬県高崎市出身。趣味は食べ歩き。奈良漬けをはじめ各種の漬け物、薬酒漬など、インタビューの際もグルメ情報が盛りだくさん。「動いていると面白い。計画しないで行くのが良い」。

 

坂田工業は、守夫さんの祖父が昭和5年に長野市で瓦屋として創業。その長男(守夫さんの伯父)が高崎市で事業を展開していた。当時、宮崎県庁に土木技師として務めていた守夫さんの父は、兄を助けるために家業を継ぐ。守夫さんは弟妹とともに高崎市で生まれ、昭和24年、5歳のときに長野に戻ってきた。


坂田工業は、30年代になると防水工事だけを手がけるようになり、県や市の仕事を中心に官庁物件で実績を伸ばした。40年代には国関係の工事も請けるようになった。


守夫さんの入社は昭和42年。世間は建築ブームのまっただ中。学校関係から庁舎施設まで、官庁の建築工事にはすべて、防水工事が含まれていた。


48年2月、社長に就任して間もなく、第一次オイルショックに見舞われた。防水業界にとっても死活問題で、新規メーカーが出てきて合成ゴムシートや塩ビシートなど、新しい製品を発売した。押さえコンクリートなしで歩行出来る塩ビシートは人気を集め、役所も積極的に使った。アスファルト防水なら30年以上は持つが、塩ビシートは3、4年でダメになる。施工が手軽なため防水工事業以外の職種(内装)からも塩ビシート防水に乗り出したため、技術を伴わない工事が少なくなかったという。「あれは失敗だった」と振り返る。(坂田工業では社内での検討を重ね、暴露試験を行った結果、寒冷地では無理と結論を出し、施工は一切しなかった)

 


屋上部分に緑化や外断熱、太陽光発電などの設置需要が高まるにつれ、防水工事の必要性は今以上に高まることが見込まれる。需要に応えるため、後進の育成も欠かさない。現場に出ている社員は8人、防水関係の1級技能資格所有者は延べ13人。同社専属の1級技能資格者は延べ34人。さらに登録基幹技能者が1人、防水施工管理技術者2人、1級建築士1人、1級建築施工管理技士1人がいる。腕に技を身に付けようと「若い人も入ってきている」という。

 

信州名匠会には発足時から参画し、現在、専務理事を務める。会への思いは人一倍強い。名匠会のあり方について「もっと個人会員が積極的になってほしい」と語る。「倅(◆せがれ)が頑張っているところもある。そういう若い人を中心に青年部をつくったら良い。後に続くように布石を打っていきたい」。(栗田直良)

 

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