会報誌たくみ

 

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「現場の入念な段取り」という凡事を積み上げる

匠建設株式会社(長野市)
代表取締役社長 増田幸雄氏

プロフィール/昭和29(1954)年6月18日生まれ、57歳。長野市出身。趣味は水泳とゴルフ。

 

昨年3 月に匠建設の四代目社長に就任した増田さん。三代目の中村建一朗社長に見初められて入社した。

「仕事は片付けから。真っ黒になって汗を流しながら。冬は寒くて嫌で。でも好きだったんだね」としみじみ。現場代理人から始めて、仕事はたたき上げで覚えた。

 

入社当時は木造だけだったが、2 年目に鉄骨も扱うようになった。「30 歳くらいまでは木造から離れていて、鉄骨きりでした」。

鉄骨を手がける中で「施工図を描いたり、図面チェックを覚えました」。

当時、社員は3 名ほど。「図面描きから段取りの手配、建築確認申請まで出しにいきました」。

 

 

仕事を通じての地道な勉強が実を結び、27 歳で一級建築士に合格。

ちょうどその頃、長野市発注の第一地区公民館や、安茂里の商業施設(地下1階・地上3階)の鉄骨の仕事を請けて「あれから自信が付いた」と振り返る。

30 歳の頃、一級施工管理技士の資格も取得した。「30 代は本当に黙々とやりましたね」。

 

現場代理人として職人をまとめる。匠としてモノをつくる上で欠かせない技の一つだ。「一番は現場の段取り。前工程の仕事はその日にやり、明日の仕事の約束は必ず守りました。そうしないと職人は付いてこない。増田の言うことだったら間違いないと信頼を得ることで、彼らは付いてきてくれる」。

 

いま、会社のトップとしてすべてをまとめる立場となった。「葛藤があります。専務のときは社長がいましたから好きなことが言えました。いまは言葉に対してものすごく神経を使う。お客様に対しても従業員に対しても」。

 

施主の要望は大事にしつつも、ときにはアドバイスもするという。「一番はコミュニケーション。お客様ときちんとコミュニケーションをして引き渡す。事務的につくった建物には『魂』が入らない。気持ちが入ってこそ大事に使ってもらえますから」。そう話す増田さん。施主にとって本当に満足のいく家を提供したいという気持ちと日本の住宅文化に対する真摯な気持ち。どちらも欠かさない。そんな姿勢が垣間見えた。(栗田直良)

 

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