会報誌たくみ

 

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未来の職人が
感心するものを残したい

株式会社 宮内 代表取締役
宮内計臣氏(千曲市鋳物師屋)

プロフィール/●1969年(昭和44年)2月24日生まれ、49歳。千曲市出身。社員は10人。息子と娘が1人。

 

「理想通りにいかないことが多く、ずっと突き詰められるところが面白い」と左官の魅力を語る。職人としては、細かいところまでの工夫やオリジナリティーを常に追求している。「試行錯誤しながら理想通りにいくことを目指している。苦労することは多いが、思い通りにいったときのやりがいは大きい」。最近では「左官の手仕事の魅力を感じてもらえるようになったのか、施主から『宮内さんにお任せします』と言われることもある」と笑顔を見せる。

 


今後、力を入れていくのは、古民家や文化財の修復だ。「いまあるものを次世代に残していきたい」という。これまでは、長野市松代の寺町商家や千曲市八幡の松田館などの文化財の整備に関わってきた。「100年後の左官職人が見たときに、感心してもらえるようなものを残したい。その建物の壁や土蔵を見て、昔の職人はすごいと思ってもらえれば」と思いを語る。


(株)宮内は昭和47年の創業。今年で創業46 年目を迎える。先代の父親が地元の左官屋から独立、10年前に計臣氏が2代目として事業を受け継いだ。「苦しい時期も多かったが、続けてこられたのはまわりのおかげ。自分は本当に恵まれていた」と、この10年間を振り返る。今、社内には20代の若手社員が2名在籍している。「会社として北信能力開発センター(中野市)の左官科に派遣したこの二人の職人が、働きながら通って、無事に終了した。良くがんばったと思う。技と心意気を若手に引き継いで、一人前に育てたい」。職人の世界は思い通りにいかないことがあり、若手は苦労することが多いというが、将来的には「独立できるまでに育てあげる」ことが目標だ。


自社だけでなく、業界の将来を見据え、地域のイベントにも参加。左官の体験コーナーを開き、「『左官』という言葉を一般に知ってもらう機会になれば」と期待を寄せる。


「支えてくれた従業員、お付き合いしていただいた企業のみなさんに感謝して、その期待に応えられるような仕事をしていきたい。それが恩返しになる」

 

総務・経理の全般を担う輝美(てるみ)夫人と。

 

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