会報誌たくみ

 

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既成概念にとらわれず、
常に精度や効率のより良い技法を求める

有限会社北澤ステンレス工業 代表取締役
北澤 徹氏(長野市川中島原)

プロフィール/●1968年(昭和43年)10月8日生まれ、49歳。長野市川中島出身。家族構成は母、妻、長女(高1)、次女(小6)。

 

「専門的な知識と技術で、特殊性のあるものづくり」と自身の事業を表現する。「ステンレスの特性を最大限に生かし、公共施設やビル建築、商業施設まで、人々に長く使われる製品をつくり出すことが、この仕事の魅力」と語る。職人としては「既成概念にとらわれず、常に精度や効率のより良い技法を考える」のがモットー。「難しいことに挑戦するのは、自社の技術力を高めるためになる」といい、印象に残った作品に、長楽寺の唐傘風金物、手すり、安全柵(すべてOMZP加工)などをあげる。


中央工学校で建築を学び、千広建設(長野市)に入社。5年間の現場代理人の経験を積んだ後、2代目として事業を継ぐために、北澤ステンレス工業へ。2012 年に社長に就任して7年目、来年で創業40 周年を迎える。先代の父親が事業の展開を見据えていたことから、中央工学校への進学を勧められた。「先代はステンレスを専門とする本当の職人だったので、自分には『図面を書けるようになってほしい』と言っていた」と振り返り、「いろいろあったけど、先代が望んだ道を歩んでこられたのかな」と笑う。


名匠会に加入して5年が経つ。「研修会からは学ぶことがたくさんあり、仕事への刺激をもらっている」と話す。会員とともに仕事をすることに対しては「(名匠会の)先生方は良かったところを具体的にあげてくれる。それがモチベーションになっている」。

 

施工実績を振り返りながら、「技術力の一層の向上と
若手の育成を進めていく」と覚悟を語る。

 

職人の働きやすさと人材の育成

「昨年に社員の給料形態を見直した。社員の収入の安定化と休日の確保が狙い」。職人も働き方改革を考える時代になっていることに加え、若い人材の確保のための改革だ。「職人の働き方も今の時代にそぐわなくなっている」といい「社員の多くは40代で、家庭もある。模索しながらだが、社員のためを思ってやっている」


これから先の5年間は、20~ 30代の人材確保に力を入れることが目標。金属を扱う特殊な仕事であるため「一人前になるには10年間はかかる」というが、「現場に若い人を入れて育てないと会社の力が落ちていく」と将来を見据えている。


業界の未来のため、2年前から地元の中学生の職場体験にも協力する。「若い世代にものづくりの楽しさを知ってもらいたい」とし「将来的にこの業界に興味を持って、目指してもらえれば。『10年前に北澤ステンレスで体験学習しました』とか言われると最高ですね」と笑顔を見せた。

 

工場でベテラン職人が繊細な曲げ加工を施した
ステンレス材を前に。

 

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