会報誌たくみ

 

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デジタル技術で基礎づくりのため
「測る」山の中から街場まで、手間を惜しまず支える

有限会社エヌ・テック 代表取締役 
中沢清光氏(長野市富竹)

プロフィール/●昭和35(1960)年5月24日、飯山市生まれ、64歳

 

建築、土木工事の基礎となる測量業務を専門に行う。

技術進歩の目覚ましいデジタル技術を活用し、公共の大規模事業から、民間の住宅関係の測量など、手掛ける分野は広範囲に及ぶ。

長野市三才の北部スポーツ・レクリエーションパークの測量や、警察学校、また、東京工業大学の研究室の電波状況を確認するために室内の形を測るといった仕事も手掛ける。

 

多様な現場での体験を語る中沢氏


「ただ、現場は前人未到のところが多く。今、調査している場所もほとんどが山の中。街場の仕事もありますが、ハチに刺されたり、クマがさっきまでいたのが分かって命の危険を感じるような現場もありましたね」と語る。

トータルステーションによる3次元レーザー測量や、5年ほど前に導入し、現在7基あるというドローンを使った空中からの測量など、様々な機器を使い対象物を測る。

「北は秋田から、南は愛媛かな。連絡をいただければ日本中対応します。地震や洪水など自然災害の後の依頼が多いですね」。

 

2024年の元日に発生した能登半島地震でが、斜面の発災直後と、時間を置いた状況とを測り、変動状況を把握する調査を実施。「人が入れないような場所ではドローンを飛ばしてやっています」。

19年の令和元年東日本台風では千曲川が決壊し、浸水被害に見舞われた長野市赤沼や、インフラ被害の多かった上田や佐久などでも初動調査などに従事。

21年の国道19号沿い、長野市篠ノ井小松原で発生した大規模地すべりでも、現在調査にあたっている。また、16年の熊本地震では、崩落した石垣の石積みを解析するために3次元レーザーで取得した点群データの解析も行った。「同じものを同じ位置に配置するために3次元の図面を作成するというもので、点群の点の数は5億点にもなりましたね」

 

民間の仕事では、別荘地で景観を気にする顧客の求めに応じてレーザーで木一本一本の形を取り込み、隣の家からの離隔や窓の位置、高さなどと合わせて図面に落とし込む仕事も。「建築する際に、隣の家との関係から玄関や窓の位置、高さなどを気にされるお客さまが多く、シミュレーションするために3次元のデータにしてお渡ししています」と説明する。

 

「私たちの仕事は黒子の仕事で、形にする前の段階。基礎になる部分なので、この仕事を手掛けた、ということよりも、良い仕事を続けていくことで、次のお客さまからもまた声がかかると思って、手間を惜しまないようにしています」

 

下高井農林高校の林業科を卒業後、東京測量専門学校で測量を学び、帰郷して第一測量設計コンサルタント(現AB.do)に入社。独立して96年にエヌ・テックを設立し、現在に至る。

技術者としての立場から、経営者の立場となり、ドローン技術を農業分野にも役立てようと農薬散布への活用にも積極的に取り組むなど、新分野への取り組みにも挑戦している。

(栗原直良)

 

多彩な機能の大小のドローンに囲まれて

 

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