会報誌たくみ

 

定例研修会報告 平成21年度

 

平成21年度 第9回研修会

オール電化は本当に一番安いのか?…
エコウィルとは?

開催日/平成22年5月26日(水)
師/塩入 賛氏(長野都市ガス株式会社 営業開発部)

環境に配慮した建築を目指す上で注目されている、ガスを暖房・給湯・発電に利用するシステム「エコウィル」について学んだ。
オール電化との比較を交えて、本システムの長所・短所を分かりやすく説明していただいた。
エコウィルの特長である発電のシステムは、太陽光発電と併用することでメリットが広がるという。
政府の太陽光発電への補助政策によっては、オール電化との競合が生まれ、サービスの低価格化が進むことが期待される。

 

平成21年度 第8回研修会

ものづくり、陶芸の楽しさ満喫

開催日/平成22年4月17日(土)
師/村越 久子氏(上田市武石、雪しろ窯主宰、信州名匠会顧問)

季節はずれの雪が止み、晴れ渡った青空の下、会員の家族や仲間大勢が集合。雪と桜のめったに見られない景色を楽しんだ後、自己紹介を交えながら和気あいあい、村越先生が用意してくださった昼食をいただいた。
事前に構想を練ってきて、淡々と制作に取り掛かる常連の参加者、参考の作品を見ながら村越先生とスタッフの皆さんに教わりながら手探りで作り始める初めての参加者。それぞれ無心にものづくりの楽しさを感じながら2時間ほどでそれぞれ個性的な作品の形ができあがった。この後2ヶ月かけて乾燥、色付け、焼きをしていただき、完成した作品が総会の会場に展示される。参加者はどんな作品に焼きあがるか楽しみにしている。

 

平成21年度

理事会

開催日/平成22年4月13日(火)
宮本忠長建築設計事務所にて

 

平成20年度 第7回研修会

伝統の技を映像で保存し継承する試み

開催日/平成22年3月17日(水)
小布施町立図書館「まちとしょテラソ」多目的室
師/山中 袈裟嗣氏(山中桐箱店、当会会員)
////花井 裕一郎氏(同館館長、映像作家)

50年にわたって桐箱づくりを手がけてきた山中袈裟嗣氏。その功績が認められ、昨年、(財)税理士共栄会文化財団の地域文化助成金に選ばれた。山中氏の手仕事を映像に残して後世に伝えようと、助成金の一部を使った記録DVDが完成し、披露された。
取材と編集に当たった小布施町立図書館長で映像作家の花井氏によると、取材は昨年10月に開始し、作業場に何度も足を運んで膨大な量の記録映像を撮りためた。撮影は「場所の音」にこだわったという。音から感じられるものを大切にしようと、BGMは最初と最後にだけ挿入した。映像を補足する解説は山中さん自身の声だけ。ナレーションは用いなかった。
鋸を引く音や鉋をかける音、金槌を叩く音が響く。単調でも正確に反復されるそれら道具が刻むリズムと、山中さんの真剣な表情が職人の技の一瞬一瞬を映し出す。時には山中さんの息づかいすら聞こえる。
段取り(木取り)に始まり、厚さを決め、水をつけた砥粉を引き、一つ一つの材料を整える。そして箱の深さや幅を決める。「設計図は頭の中」と山中さん。45度や90度の角度をピタリと決めることのできる小口板や、それに合わせて使う小口鉋。「昔は桐下駄屋さんが使ってました。今では我々も使うようになりました」。製作過程の合間合間に、山中さんの身体の一部と化した道具も紹介される。50年の長きにわたって習得した「手際」が、これらの道具たちに息を吹き込んでいる様子が伝わってくる。
蓋が閉まる部分は、本体の箱に薄い板を貼ってつくる「貼り印籠」が今は主流だという。しかし、「うちは、これ」と、一枚の板を削って仕上げる「本印籠」が父から受け継いだ伝統の技だ。「2枚削るよりも1枚の方が早い。貼る手間もない。薄い板は削れば波を打つ」。伝統の技は合理的でもある。
「(固定定規を使えば)同じものを何百何千と作ったって同じ寸法。だから蓋はどれでも入る」「(板の中心に糊が溜まる溝を付けると)後で湿気ると多少増えてくるから板と板がぴたりと付くんです」。先人の工夫についての何気ない説明も、ともするとそれが山中さんの日々の研さんに裏打ちされていることを忘れそうなほど簡単に聞こえる。「昔の人はえらいことを考えたものです」。
段取りが終わり、いよいよ箱を組み立てていく。作業は段取りに比べて思いの外、呆気ない。蓋を閉めると最初は渋く、徐々に適当な厚さにまで削っていく。
箱の格好ができ上がる。仕上げに引く鉋くずの薄さが仕事の繊細さを物語っている。一旦、蓋を閉め、逆の方向に回してもう一度閉める。どちらの方向もピタリと閉まる。木目はほとんど区別がつかない。ひもを通して縛り終えると完成だ。
職人の技を習得するには何年もかかる。「仕事は盗んで覚えろ」と言われるのは、手先の微妙な感覚がマニュアルでは表しづらいからだ。今後、こうした職人の技を映像記録化(デジタルアーカイブ化)していくことで技術が保存伝承されていく意義は大きく、そのさらなる活用が期待される。

 

平成20年度 第6回研修会

伝承されるべき技術と想い

開催日/平成22年2月24日(水)
師/宮澤 郁夫氏(宮澤建築、当会理事・技術委員会)

2月24日の研修会は、「民家構造模型と工法の説明」と題し、大工棟梁・宮澤郁夫氏に、パリに移築した開田村民家の1/4模型の一部を見ながら、その工法説明を中心とした講義をしていただいた。平成19年8月に同氏によって行われた「パリ移築再生の報告講演」に引き続くものである。
模型は、県が行った「地域ものづくり人材育成支援事業」に則って制作された。継手や仕口の細部にわたって忠実に再現され、解体・組立が可能である。足固めや地貫といった床組みの構造部材は、略鎌(鯖口)込栓と楔〆。また小屋を支える丸太梁は、鬢太延ばしの枘差しを鼻栓または込栓で固定している。外部壁板は殺ぎ継ぎ、破風は引き独鈷、そして棟木に取り付く垂木ですら蟻落しで納められており、シンプルなその納まりは、英知が積み重ねられた手間隙を惜しまない手仕事ばかりである。
講演を通じて、先人たちの優れた技術と誠実な想いを知り、伝承されるべきものの必需性やその担い手を育成する重要性を共感するとともに、そこに共存する実社会のジレンマにも参加者が思い思いの言葉を交わした。
「こうした伝統的要素をもつ工法の建物は法的に分けて考えるべきではないか」と、宮澤氏は講演を結び、手仕事の悦びを知る名匠会員にとって、課題も投げかけられた有意義な時間となった。(当会会員・建築工房アカシヤ・大工棟梁・堀誠)

 

平成21年度

新年会

開催日/平成22年1月20日(水)
ホテルJALシティー長野「四川楼」にて

「村越先生、西澤さんに“福”を賜った年始め」

会員同士の親睦を図り、一年の抱負を語り合う信州名匠会新年会が、例年にならって開催された。降旗副会長の年頭のあいさつで始まり、村越先生から縁起物の「上州高崎 福だるま」と西澤嘉雄氏から武水別神社八幡宮の福御守をいただいた。厳しい社会情勢の年、匠の知恵で前向きに仕事に臨むことを共に確かめ合った。

新会員の石田喜章氏(大工)、轟光洋氏(左官)両氏から自己紹介と入会の思いを語っていただいた。21年度第4回研修会で茶の作法について学んだことをきっかけに、茶道具にも関心をもっていただこうと村越先生に用意していただいた先生の茶碗を鑑賞しながら、会員同士の懇親を深めた。

 

平成20年度 第5回研修会

太陽光発電の基礎知識と補助制度を学ぶ

開催日/平成21年12月27日(日)
師/樋口 豊氏(㈱ライフエンジニアリング、当会監事)
////高橋 信司氏(ナガサカ電気㈱部長)
////田村 賢二氏(三菱重工空調システム㈱部長)

環境問題への関心の高まりから、近年脚光を浴びる太陽光発電。12月の研修会では本会監事の樋口氏に講師を務めていただき、太陽光発電の基礎知識、高橋氏に太陽光発電の補助制度について教えていただいた。田村氏からは、太陽光発電の費用対効果や発電量について、詳しい説明を受けた。参加者の関心が高く、多くの質疑応答がなされた。積雪地域では太陽光パネルの設置にいくつかの注意点があることも学んだ。今後、普及が見込まれる分野だけに、太陽光パネルと屋根との意匠的な一体性をもった製品開発を望む声が聞かれた。

 

 

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