定例研修会報告 令和5年度
令和5年度 第5回研修会
第27回リレートーク「ストーブ・サウナ」
開催日/令和5年3月21日
講/師/鳥羽 英夫氏(長野サウナ販売株式会社代表)ほか
長野サウナ販売さんのショールームをお借りし、同社代表の鳥羽氏、山本氏、株式会社メトスさんから、近年需要の高まる薪 ストーブやサウナについて、紹介・講義をいただいた。
はじめにストーブについて講義をしていただいた。
薪スト ーブは鋳物製と鋼板製があり、それぞれの特徴や種類や、実 際に導入する際の煙突の構造、不燃仕上げの範囲、吸排気の 取り方や必要な離隔等、施工例を用いて分かりやすく紹介が あった。
また、メンテナンスについても説明があり、導入時の イメージをより具体的に持つことができた。
次にサウナについて講義をいただいた。
現在は第3次サウナ ブームで、東京をはじめ地方にもアウトドアサウナ、プライベー トサウナなど、新しいサウナの形式で店舗が展開している。
講義では歴史の中のサウナ変遷から、 現在の様々な独自スタイルで広 がりをみせるサウナのあり方に ついて、説明があった。
講演後は 実際に薪ストーブを利用して焼い たピザをふるまっていただき、一 同団欒のひと時を過ごした。
令和5年度 第4回研修会
中野市民会館リノベーション工事見学会
開催日/令和6年2月17日
講/師/山田専務、出澤設計監理主管、本荘設計監理主管
/// (株式会社宮本忠長建築設計事務所)
令和5年度第4回研修会は、完成したばかりの中野市民会館リノベーション工事を見学した。
前年の5月に工事中の様子を見学しており、今回も設計監理を担当した宮本忠長建築設計事務所、環境デザイン研究所JVから山田将光専務(宮本建築設計事務所)らが講師を務め、新会館の特徴や改修工事でのポイントなどを聞いた。
同会館のリノベーション工事は、老朽化した旧施設を、現在の要求水準を満たすように改修するプロジェクトで、担当者からは、設計にあたって市民の意欲を喚起し、楽しい雰囲気にあふれた、回廊でき、変化に富んだ体験のできる「遊環構造」理論を取り入れたことが説明された。
ファサード部分は、新たにエントランスを設け、新市民会館の顔として印象づけ、西側の大ホールと東側の多目的ホールの間に、南北を貫く「市民想像回廊」を設け、市庁舎のエントランスと重なる「文化軸」としての機能を持たせたことも説明された。
施設の中心となる大ホールは、舞台が見やすい囲み型の客席配置として演者と観客の一体感を創出した。多目的ホールは、市民想像回廊と一体的に使用できる空間として幅広い使い方ができるよう可動いす収納にしたという。
令和5年度 第3回研修会
コードマーク御代田 見学会
開催日/令和5年10月21日
講/師/会田 友郎氏(アイダアトリエ代表・建築家)
/// 森田 秀之氏(コードマーク御代田代表取締役)
第3回研修会は御代田町面替に新たに完成した里山の維持・保全活動の拠点施設となる「コードマーク御代田」を見学した。
名前の「コードマーク」は、面替地区を含む平尾山麓の北側で多く出土した縄文土器からきており、縄文文化の特徴の一つである、人と自然との「共有の精神」に由来する。
コードマーク御代田は2020年に株式会社として設立され、活動に共感する人は「株主」として施設や活動を文字通り「共有する」形で携わる。
1年を通じて炭づくりをはじめ耕作、水稲、竹細工作り、鹿肉の解体、餅つきなど多岐にわたり、これらが共有の精神に基づいた「里山」の環境を維持・保全する活動となっている。
コードマーク御代田の外観は、螺旋状に上昇する力強い屋根がひと際目を引く。
内部は事務所、厨房、作業場、拠点施設を内包する。8つのレベル差を設けた床がクリ丸太の心柱とペチカを中心に渦を巻くように上を目指す構成となっている。
大窓からは北側に浅間山や北アルプス、南側に平尾山の雄大な景色を臨むことができる。
活動を主宰する森田秀之氏は、16年前に御代田町へ移住。コードマークの前身である薪を作りながら山里を整備する「薪びとクラブ」を立ち上げた。森田さんは「知識だけではない『実践』を通じて山と接する形がほしかった」と話した。
設計・監理に携わった会田友朗氏(アイダアトリエ代表)は、季節ごとに御代田町に足を運び、時には江戸時代から面替地区にある大星神社の歴史や地域の関係性に触れ、「地域との結びつきを掘り下げながら、人が集える場所を形にした」と話した。
令和5年度 第2回研修会
旧小諸本陣(問屋場)、脇本陣宿 粂屋 見学会
開催日/令和5年9月23日
講/師/岡田 利活氏(北野建設株式会社 工事主任)
/// 甘利 亨一氏(甘利亨一建築設計舎 代表取締役)
令和5年度第2回研修会は小諸市で開催。
初めに、旧北国街道小諸宿の本陣兼問屋場として使用されていた「旧小諸本陣」を見学した。
現存する最も大きな問屋場で、1973(昭和48)年に国の重要文化財に指定された。2027年の修理・復元を目指し保存修理工事が進められている。工事を担当する北野建設の岡田利活氏にご案内いただいた。21年より工事が進められ、近現代の改築部分や下屋が解体され、骨組みだけとなった建物の骨格を見学。
さらに解体の過程で発見された関札や宿札など貴重な部材を観ることができた。
次に訪れたのは、旧脇本陣の建物をリノベーションし、カフェを備えた旅館として生まれ変わった「粂屋」。
脇本陣は参勤交代の際、大名や家臣が宿泊した施設で、粂屋は江戸時代の雰囲気を継承しながら2019年にオープンした。
江戸後期の建築とされ、大きな屋根が印象的。切妻破風のひさしと式台のついた格式高い玄関を通り抜け、室内を見学した。
梁や欄間、既存の木組や意匠を生かした客室で、甘利氏は「脇本陣としての機能の面影を残しながら、時代の変遷の中で流れてきた形を再構築した」と振り返った。
令和5年度 第1回研修会
びんぐし湯さん館で温泉につかり親睦深める
~世俗の垢を落として語り合いましょう
開催日/令和5年7月22日
講/師/西澤嘉雄氏(株式会社 N建築設計事務所 所長)
令和5年度第1回研修会は7月22日、リニューアル工事が2022年11月に完了した「びんぐし湯さん館」(坂城町)で行った。
設計を担当した西澤嘉雄氏がリニューアルの概要などを説明。その後、新しくなったレストランで食事をしながら、会の今後について話し合い、温泉につかり親睦を深めた。
リニューアル工事では、大広間東側屋外の展望デッキの新設、湯上がりコーナーの拡大、レストランの増築と床暖房の整備、老朽化した設備関係の改修などを実施。
コロナ禍の中、密を避けながら多目的に使えるスペースの確保や動線の見直しを図った。
西澤氏は、びんぐし湯さん館の建設計画から振り返り「この建物を設計するにあたっては、現地を訪れたが、地形条件が厳しく、造成費用を抑えるのに苦労した」「12年のリニューアルでは、メインの入浴施設で石風呂をつくるため中国まで行って検品してきた」などと述べた。
22年の改修工事については「森林浴ができるよう屋根付きの展望デッキをつくったり、床暖房を導入したり、利用者が安心してくつろげるような改修を行った」と説明した。