会報誌たくみ

 

定例研修会報告 令和7年度

 

令和7年度 第3回研修会

「八幡屋磯五郎サテライトオフィス」見学会

開催日/令和7年11月8日
講/師/宮本圭氏(㈱シーンデザイン建築設計事務所)
/// 岡田利浩氏(北野建設㈱)
/// 堀 幸一氏(建築工房アカシヤ)

令和7年度第3回研修会は11月8日、(株)八幡屋磯五郎が善光寺の西側に建設中のサテライトオフィス「来間池ガーデン」の事務所棟建築工事の現場を見学した。

 

同社の室賀豊社長が重要顧客との商談や会議などの場として計画したもので、高崎市出身の実業家・井上房一郎がチェコ出身の建築家 アントニン・レーモンドの自邸(東京都港区)を参考にして建てた住宅(現・高崎哲学堂)をイメージ。その希望をシーンデザイン建築設計事務所の宮本圭氏に相談し、計画がスタートした。施工を北野建設、木工事を建築工房アカシヤが担当している。

 

宮本氏がプロジェクト全体を説明し、木工事について建築工房アカシヤの堀幸一氏が説明した。堀氏は、レーモンド邸に特徴的な丸太を使った挟み状トラスの登り梁の小屋組みや、自然素材を使い、全ての部材が異なる形状であるために必要
な工夫を紹介。木の“えくぼ”や“でべそ”に合わせて加工する必要があったとし、また、ほとんどの部材はほぞで接合し、金物は補助的に用いるにとどめたと説明した。特に二尺五寸の丸いほぞは機械で加工できないため、全て手作業で行ったという。

建て方は6本の登り梁と、ほぞまでを1日で組み立て、2日目にはほぼすべての丸太を設置。しかし、母屋のねじれから、母屋の据え付けと屋根の納めに半月以上かかったと振り返った。「距離を決める基準がなく、登り梁で距離を出し、跳ね出し梁でほぞを使って力を受けて距離を決める必要があった」ためだ。丸太の柱に丸太の梁が入り、丸太の構成が右左に入り上に登り梁がシャチで入り、その上に丸太の母屋が入るという納まりの複雑さが最も難しかったという。が、「面白がってやらないと、こういう仕事は絶対にできない。こうした工事もすればトイレもつくる。そういう一つひとつの延長です」と語った。

 

堀氏は、さらに「木造に占めるプレカットの割合は、いま94%と言われるが、自分たちは一度も使ったことがない。プレカットに慣れると墨付けを忘れて、こういう建物は建てられなくなる」と語った。

 

令和7年度 第2回研修会

「安曇野ちひろ美術館、すずむし荘」 見学会

開催日/令和7年9月27日
講/師/㈱宮本忠長建築設計事務所

/// 山田将光氏(専務取締役)

令和7年度第2回研修会は9月27日に松川村にある安曇野ちひろ美術館とすずむし荘で開いた。
すずむし荘では、同施設の改修設計を担当した山田将光氏(宮本忠長建築設計事務所)の説明を聞いた。

始めは建築家の内藤廣氏が設計した「安曇野ちひろ美術館」の見学を行った。
同館は風景に溶け込む「連続する切妻屋根」が特徴で、背後に広がる北アルプスの山並みに呼応するようにデザインされた。
参加者らは、いわさきちひろの作品や長野県産材のカラマツを使用した内部空間、かわいらしい家具、外構や屋外展示をつなげる空間構成などを、各々見学した。


お昼は昨年宮本忠長建築設計事務所にて設備等のリニューアルを終えた「すずむし荘」で会食。
松川村の澄んだ空気と豊かな自然環境の中で一品一品吟味し、工夫された料理を楽しんだ。そして、昼食後、参加者の方々と、高齢化の進む信州名匠会の今後についても、意見交換を行った。


昼食後は、すずむし荘を山田氏より解説していただいた。初期の設計から今回のリニューアルまで工夫、苦労した点を聞きながら見学を行った。
参加者からは当時の施工を懐かしむ声や現代に活かせる技術の話で盛り上がっていた。
すずむし荘は宮本忠長氏のディテールを残しながら、現代の利用者のニーズに合わせた改修が行われていた施設であった。

 

令和7年度 第1回研修会

飯山市立城北小学校完成見学会

開催日/令和7年7月26日
講/師/㈱宮本忠長建築設計事務所

/// 出澤雄太氏(設計監理主管)
/// 小口ゆずき氏(設計監理主任)

令和7年度第1回研修会は7月26日、飯山市立城北小学校の新校舎で開催。会員23人が参加した。市が進める4小学校(泉台・常盤・戸狩・東)の統合による整備事業で、設計を担当する宮本忠長建築設計事務所の出澤雄太、小口ゆずき両氏の案内のもと、完成した校舎を見学した。

 

新校舎は鉄骨造2階建て、延床面積約7000㎡。7月15日に本体校舎の工事が完了し、飯山市へ引き渡されている。9月1日の開校を前に、外構・プール棟等の工事が8月22日の竣工予定で最終段階を迎えていた。

 

出澤氏は、設計にあたって4校統合の背景を踏まえ「学び、育てられる学校」「つながりを継承する学校」「意欲をかき立てる学校」の3つの視点を反映させたと説明。地域性を取り込む意匠や、児童の主体的な学びを促す「余白」の空間設計を随所に設けている。

 

1階中央の吹き抜け空間にはラウンジスペースを設け、図書室の機能とICT活用を融合させた学びの場とした。約1万冊を蔵書できる書架を備え、また、電子端末を利用できる学習スペースを設けている。教室は標準より広めに設計し、什器も充実させた。間仕切り建具を全開放することで、廊下と一体的な学習空間としても活用できるよう工夫している。

 

採光計画では、中廊下式ながら北側に大開口を設け、自然光を最大限取り込む工夫をした。放課後児童クラブが使用する教室からは、飯山の山並みと田園が広がる原風景を望むことができる。

 

さらに、エネルギー効率と快適性を両立。「雪深い飯山で、年間を通じて活動的に過ごせる学校」をテーマとし、渡り廊下を排して一体型構造としたほか、全館空調を採用し、外張断熱により熱損失を最小限に抑えている。

 

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